中津新聞

2019.12.08

大好きな服のジェネラリストでありたい|セレクトショップ「itocaci」北原一輝さん

中津商店街周辺にあるたくさんの細い路地、その一つにひっそりと存在するセレクトショップ「itocaci」。

オーナーの北原さんが服を仕事にしたのは、このお店をオープンした3年前。それまでは、証券会社でサラリーマンをしていたのだとか。「お客様とお話する上でとてもいい経験になりました」。確かに、アーティスティックな風貌とは裏腹に、とても話しやすい印象です。

1987年、ぎりぎり昭和生まれの北原さんは長野県松本市出身。修学旅行で行った京都が忘れられず、大学から関西に。中学生の時、「9.11」のニュース映像に衝撃を受けたのがきっかけで世界の情勢に興味をもつようになり、大学では国際経済学科を専攻。在学中は国際ボランティアサークルを立ち上げ、東南アジアなどで活動をしていたそうです。

そんな北原さんが、服を好きになったのは高校生のころ。私服の学校だったのと、純粋にモテたい願望もあり、古着を取り入れたりして装いを楽しんでいたのだとか。大学でも、自分で服を作り、学生の団体に入ってファッションショーもしていたそうです。

アートやファッションに興味がありましたが、仕事にする自信や覚悟もありませんでした。だったら何かモノや作品を見抜く力をつけるため、時代の流れを読む勉強をしようと、証券会社を就職先に選んだのだそうです。

服が好きなあまり「仕事にすることで嫌いになったらどうしよう」という不安も抱いていたそうですが、証券会社で努めていた4年間、服への思いは捨てきれず、中津商店街の近所のイベントスペース「play」を立ち上げ、服の展示会等を開催していた北原さん。そこで色んなブランドさん、ものづくりをしている人との出会いがあり、「服を嫌いになることはない」と確信。同時に服を仕事にするきっかけとなりました。

服とのふれあい方、お店の存在意義を考え続けたい

WEBショップで事足りる時代に「服のためにできることは?」と考えた結果、服のいいところ、周辺のこともきちんと伝える場所を作る」という思いから、この「itocaci」が生まれました。

お店に北原さんが本当に服として素敵だなと思えるブランド集めるだけでなく、知人と「365cotton-サブロクコットン」という団体を作り、兵庫県西脇市に畑を借りて綿花を栽培、月に一回お店のお客さまも一緒に栽培や収穫も行っているそうです。

「ブランドと顧客がWEBで直接繋がれる時代にセレクトショップの必要性があるのか、と疑問に思うこともあります。だからこそ服とのふれあい方、お店の存在意義を考え続けたい」と話す北原さん。

他にも、製造工場の見学やクリーニングなどのお手入れについて学んだりと幅広い視野で情報を収集。服に関しては「スペシャリストではなく、ジェネラリストでありたい」のだそうです。



中津の人と、中津のために何かやりたい

これからの目標は、まずは洋服屋としてちゃんと成立し続けること。さらに、中津を拠点としつつも多店舗展開もしていきたいという北原さん。ただ、拠点はこれからも大阪・中津。「今の自分があるのはここでのお客さま、大阪で知り合った方々のおかげ」だと話します。

ところで、この「流しめん」の動画をご覧になったことはあるでしょうか?



中津商店街周辺の長屋を舞台に何十mも竹を組み、麺を流すというイベント。私たちは中津について情報収集し始めた頃この動画に出会い、この人たちは今どこにいるのかな?と思っていましたが、実は北原さんがその一員だったそうです!(もうこの集団は解散してしまったそうです。)

この時も、中津在住の方向けの料金などを設定していたのですが、結局、外部からの参加者の方が多く、なかなか「中津の人と何かする」ことが出来なかったのだとか。

「例えば、生地がたくさんあるので自分で生地を選んでもらって、ミシンで縫ってもらうエコバックのワークショップなど、楽しいことを仕掛けたい。」

北原さんの大好きな服の一部が中津の人の日常に組み込まれ、それを持った人たち同士がばったり出会う。そんなシーンが生まれるととても素敵ですね。

魅力的な服と、北原さんのいるitocaci。みなさまも、ぜひ、一度お立ち寄りください。

文/山口 薫(中津新聞)


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