中津新聞

2019.03.29

アートとクラフトビールとコミュニティのおはなし


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3月26日、中津新聞でも初回から取材してきた‘ホップでコミュニティを醸造する’をテーマにしたトークイベントの第三弾が開催されました。会場はこれまでの中津から、大阪市阿倍野区にある「あべの荘」という都会の真ん中に残された庭園へ。


3月末の夜はまだ少しひんやりしていましたが、会場内のあちこちで「お久しぶり!」「はじめまして!」そして「またお会いしましたね!」な人たちが談笑していました。

今回は桜の咲く広い庭園で、自由にビールや食事、会話を楽しんでいただきながら2つのトークセッションを開催するスタイル。クラフトビールは、奈良のブルワリー、ゴールデンラビットビールの「あをによし」と「そらみつ」がセルフサービスで用意されました。



【セッション1】「働く」が変わる。個人>会社の時代へ

「働く」をテーマに、ダブルワークでビールを醸造するゴールデンラビットビール代表の市橋健さん、食の重要性やセルフケアの価値を伝える活動をしているSimpleading代表の坂本まゆみさん、そしてアートを通して人々に楽しいを提供する株式会社 OVER ALLs代表取締役社長の赤澤岳人さん、ファシリテーター吉川によるトークセッションを行いました。

結婚をきっかけに、奥さまの地元である奈良に移り住んだ市橋さん。大阪市内出身だった市橋さんは古都・奈良ののどかな雰囲気に魅了され、なんとか奈良の魅力を広めたいと思うように。

市橋さん「勤めていた製薬会社の副業解禁のタイミングで、クラフトビールの醸造所とタップ(ビールの注ぎ口)ルームを始めました。」

フルタイムで働きながらビールを醸造し、さらに奈良のお米「ひのひかり」や麦を育てる農業もやっている、という市橋さん。築50年の倉庫を改築した醸造所の2階には音楽をテーマにしたタップルームがあり、お客さま秘蔵の1970~1980年代のレコードが聴けるそうです。

市橋さん「ローカルとソーシャルをキーワードにしています。奈良のお米や古代種の作物を使ったクラフトビールで、奈良のことを広めていきたい。また、ビールの販売が寄付型になっていて親と暮らせない子どもの支援につなげています。」

外科外来の看護師でありながら、看護学科の教員でもある坂本さん。土日はスーパーマーケットの従業員に、食事は薬にもなる、ということを伝えるポップづくりや調理の実演を指導をするなど、薬に頼らなくても家で十分ケアできる、ということを伝える活動を行なっています。

坂本さん「入院できる施設が、実は年々減ってきています。自分の体は自分で守る人を‘べっぴんさん’と呼んで、食を通じたセルフケアの価値を伝えています。」

また、去年は食の重要性への理解が高く、生産者との距離が近いアメリカ・ポートランドへ。全ての商品が試食・試飲できるスーパーや屋上に養蜂場のあるレストラン、さらにホームレスのためのレストランも視察されました。ポートランドはあらゆる人が共存できる仕組みがあり、ある意味おせっかいな街なのだとか。

坂本さん「毎月、新しくポートランドに来た人のための歓迎会も開かれているんです。」

人材派遣会社を退職したタイミングで友人のアート活動が本格化し、手伝って欲しいと言われたのがきっかけで、日本では珍しい「アートを仕事にする」ことになった赤澤さん。

赤澤さん「最初に、オフィスの仕事をした時に、体育会系の営業とエンジニアのコミュニケーションが上手くいっていない、という相談があった。そこで、休憩室になにか象徴的なアートを入れませんかという提案が採用されたんです。」

吉川「東邦レオの東京事務所にもアートを描いてもらいましたが、1階にアートがあることで、通りすがりの人が入ってくるようになりました。」

赤澤さん「手書きだと一筆一筆に人の意志が感じられる。それが人を惹きつける力になると思います。同じように、一人ひとりが‘◯◯屋さん’として意志を持つことが大切。」

会社をやめた時「無職」という肩書の名刺を作ったところ、企業の名刺で挨拶するよりも興味を持ってくれる人が増えたという赤澤さん。「その時僕は‘無職屋さん’だった。」と話します。

会社があってそこに属する個人、という時代から、個人が「◯◯屋さん」を営み、結果会社という形を成すという時代へと変化が起こっています。

【セッション2】軽さが心地いい「あべのって」のまちづくり

阿倍野区の呼びかけで始まった地域魅力発信団体「あべのって」の平川隆啓さん、岡本祐紀さんとのスペシャルトークも行われました。広島出身で大阪在住15年、昭和町の顔が見える関係が好きになったという平川さんは、これまでも行政などから商店街の活性化を委託されてきたそうです。

平川さん(写真左)「最初の呼びかけは『この辺の美味しい店知ってるんやけど行きませんか?』。そこで、事業の話をして仲間を集めていきました。」

岡本さん(写真右)「地元ですが、あまりにも身近で阿倍野に興味を持っていませんでした。むしろ、梅田の方が好きだった。昭和町のイベントで出会った平川さんの阿倍野愛に触れて、ありのままの自分を出せる阿倍野が好きになっていきました。」

阿倍野に家を買って移り住んできた大森さんも、平川さんに誘われてメンバーになったひとり。お子さんのいる大森さんにはこの阿倍野のコミュニティに関わっていくための入り口が必要だったと平川さんは言います。

平川さん「活動の目的をしっかり作りすぎるとどうしてもハードルが高くなる。なので、行政がやっているという安心感をもちながら、実態はゆるくやっている、という見せ方をしています。」

吉川「コミュニティづくりを見たときに最初の人が目立ってしまって、後から来た人が縦走になってしまうことも多いですよね。」

平川さん「‘あべのって’でやろうとしているのは、一つの学校を作ってその中で部活をどんどんやっていこうすることなんです。色んな人が自分の居場所を見つけてくれたらまちが豊かになると考えています。義務感とか正義感よりも自分の豊かさのために活動してもらいたい。」

吉川「平川さんは阿倍野の人にとってはある意味、よそ者。そういう異質な人が ‘おバカ(非合理)なこと’をやると、中にいる人に再認識・再発見が起こる。憧れや新しい刺激のあるところに行くよりも、普通だと思っていたところに変化があるから面白いんですね。」

2つのトークセッションがあり、盛りだくさんの2時間はあっという間。複数の「◯◯屋さん」な顔を持つ人、黒子としてまちの心地よさを演出する人。いわゆる会社勤めとは違う、多彩な働き方に出会うことができました。

クラフトビールとコミュニティを軸に1月から毎月開催されてきたこのトークイベントですが、今回でホッププロジェクト始動前最後の開催となりました。

3月21日にはハルカスファームでうめきたで育ったホップの苗の植え付けも行われ、いよいよ実践の場に移っていきます!

 

会場:あべの荘(ファーストキャビンステーションあべの荘内)

文/山口 薫(中津新聞)


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