中津新聞

2019.03.08

独特のテンポとセンスが魅力、唯一無二のそば打ち職人|COVOJEAN店主・大橋誠さん

今回のインタビューは地下鉄中津駅からほど近い、外観の雰囲気と「手打ちそば」という言葉のミスマッチが目を引く「COVOJEAN-手打ちそばとお酒と音」の大橋誠さんです。

【パリの街角にあるおそば屋さんがコンセプト】
中津に住んで12年。お店をやるなら家の近くでやりたい、と思っていた大橋さんは、たまたま、友人の知り合いがオーナーだったこの物件が空くことを聞き、お店をオープンすることになりました。

店内のカウンターにはお酒が並べられ、ジャズをBGMにくつろぎながらおそばを食べることができ、まるでカフェバーのような雰囲気です。「なんか、THEおそば屋さんっていうイメージが嫌いやって、イメージとしてはパリのおそば屋さんっていう。」さらに「嫁が前世はパリジャンって言ってるんで。」と話す大橋さん。お店のロゴはそんな奥様のお友達が、大橋さんがトランペット奏者であることにちなんで、トランペットのピストンとそばの実を使ってデザインされています。


2年前の2017年3月13日にオープンし、奥様と2人3脚で切り盛りされているCOVOJEAN。店名は大橋さんのあだ名である「コボちゃん(某4コマ漫画の主人公から)」と「パリジャンのジャン」から取って命名したそうです。大橋さんは「知り合いとかみんなで飲んでて、ノリで決まったような感じなんで。」とおっしゃいますが、パリというコンセプトとも合っていて、どんな由来なんだろう?と思わせる魅力的な店名です。

大橋さんご自身が高校からずっとトランペットをやっているのもあり、お店で2回ほど音楽イベントを開催されています。今後も開催したいという思いがあるもののそこまで手が回っていない状態だそう。「ここは結構防音がしっかりされてるみたいですね。知り合いに今でも音楽やってる友人がたくさんおって、それをここでやるのも面白いんちゃうかなぁって。いろんなジャンルをやってる音楽仲間も多いんで、後はやる気次第かな。」

【遅咲きのそば打ち職人】
もともとそば好きだった大橋さんですが、東日本大震災があった翌年に福島県へライブをしに行ったときに会津若松で食べたおそばの美味しさに「なんじゃこりゃあ!」と感動。そこの大将におそばを送ってもらえるよう頼み、いつか自分もやってみたいなぁと思っていたそうです。当時36歳。働いていた飲食店ではちょうど中間管理職の立場で、「今やめて割烹とか修行しても違うしなぁ、イタリアンも興味ないしなぁ。」と考えていたとき、ぱっとそばのことが思い浮かび、そば打ちを始められました。急にそばを打ち出した大橋さんを見て、奥様もびっくりされたそうです。

最初は独学でやっていましたがまるでうまく行かず、川西市猪名川町の道の駅で十割そばを出している『そばの館』の店主に学ぶことに。週に何回か習いに行き、ご自身でも出汁の勉強をしながらそばを打ち続けて約半年後、音楽友達がやっている寝屋川のバーでケータリングをしたところ評判が良く、ちょうどそのタイミングで居抜きの話もあり、COVOJEANが始まりました。


流派があったり、修得が難しいイメージのそば打ち。しかし、話を聞いていくと、「そばなんか誰でも打てますよ」と話す大橋さん。「流派とかあるけど、知らんしと思って。そばって打ちゃ誰でも打てるんでそんな堅い頭でやってても面白くないなぁと思って。これが正解、っていうのはその人がこんなもんでいいんじゃないの、って思う。そんなにこだわりないっちゅうか…。」師匠が製粉する国内産のそば粉を取り寄せるなど、材料にはこだわりながらも固定概念に囚われることなく自分のそばを打っています。

今は朝と夕方、毎日2kg以上のそばを打っていて、打ち終わった後には右腕がパンパンになるんだとか。「お店やるのは楽しいですよ。楽しいですけどすごいしんどいですね、身体は。この前1週間休んだんですよ、でも暇で暇で。休み明けに嫁と楽しいなぁってなって、働かないかんなぁって」



【12年間住んできた中津への思い】
「住みはじめたときはお店少なかったですねぇ。あってもなんかすぐコロコロ変わったり、今は結構定着してやってるなぁって感じ。(12年前に比べたら人通りは)全然増えましたね。昔は梅田に出たら、やっぱ梅田で飯食って帰るんですよ、地元にないから。けど結構今は中津で食べようってなってて、土曜日とかほんまに地元の人ばっかりなんです。」

中津周辺でのイベントが増えており、COVOJEANに来店されるお客様も平日はサラリーマンや土日はカップルやインスタグラムを見てきた方が来られるなど、様々な客層の方が来店されるそう。昼も夜もほぼリピーターの方で、「変に広告宣伝とか営業努力は一切してないから、来てくれるのはありがたいですね。」と大橋さん。

今後の夢を聞くと、「特にないですねぇ。なんか、稼ぎたい!って欲もなくて、人並みにって感じですね。頑張ってもう1店舗出すぞ!っていう夢もないし。楽しく続けれたらなぁ。」

自分のテンポを守りながら、人々を惹きつける美味しいおそばや料理と魅力的な雰囲気のお店をご夫婦で大切に育てている大橋さんには、淡々としている中にも芯の強さがあります。そして、大変だけどやっぱりお店をやっている方が楽しい、と言い合えるお二人に理想の夫婦像や生き方を見た気がしました。

文/妹尾優奈(東邦レオ)


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