中津新聞

2019.02.16

カカオとクラフトビールとコミュニティのおはなし


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2月8日の金曜日、「カカオをクラフトビールとコミュニティのおはなし」がクリエイティブクォーター中津で開催されました。

「ホップを通じてコミュニティを醸造する」をテーマに始まったこのトークイベント。今回は、小豆島に拠点を持ちながら、カカオと生産者のことを日本中に伝える活動をしている株式会社GOROCUBAの片山吾郎さん、2018年にキタの北ナガヤで起業したショコラティエmon petit代表の萩森 祐介さんをお招きしてお話を伺いました。

ファシリテーターは株式会社NI-WA代表の吉川が担当。懇親会では、片山さんのカカオを使ったクラフトビールが振る舞われ、参加者はリピーターも多く70名近くの大盛況でした。

誰もが子どものころから慣れ親しんでいるチョコレート。その原料となるカカオの生産や流通、本来の姿にまつわる話から、これからの「食」の在り方にまでトークは展開していきました。

2011年3月11日の東日本大震災がきっかけで職を失い、その後に訪れたキューバで偶然カカオの焙煎の香りに触れ、今までで一番の幸せな気持ちになったという片山さん。(カカオにはテオブロミンという成分が含まれていてそれが脳を刺激するのだそうです。)早速、キューバ大使館に輸入したいと相談しましたが、社会主義の国ということもありなかなか話が進まず、一旦諦めてたどり着いたのが小豆島でした。

片山さん「2年ほどしてやっぱりカカオが忘れられない、と思った頃に道の駅で偶然出会ったメキシコ人夫婦にメキシコがカカオの原産国であると紹介され、そのご夫婦のつてで生産者の所にたどり着きました。」

収穫したてのカカオ豆はただ苦いだけで、バナナの葉で包み木の箱に入れて一週間発酵させることで香りや風味が生まれるそうです。

一方、もともと体育教師をめざしていた萩森さんですが、授業の一貫でパティシエの小山進氏に人の教育というテーマで話を聞くことがあり、より幅広く人に関われるパティシエを目指すことに。

萩森さん「学生時代にカンテ・グランデでバイトをしていて中津に思い入れがあり、その頃から中津を一緒に盛り上げようという話をもらっていました。北ナガヤにできる日替わりの店舗で週7枠のうち、自分が休みの土曜がひと枠残っていたのを運命だと感じ、そこで起業したんです。」

吉川「中津はマイクロな起業が似合いますね。しかも、ものすごくこだわりのある人の。」

萩森さん「確かに、カンテもスタッフがミュージシャンだったり、スパイス料理のお店が多かったり、お客さまも含め、ある意味尖っている人の集まりかも知れませんね。」

ここで試食タイム。炭火で焙煎したてのカカオの豆→萩森さんのトリュフ(材料はカカオと生クリームと砂糖だけ)→ショコラショー(ホットチョコレート)の順でいただきました。

萩森さん「このトリュフは(片山)吾郎さんから仕入れた2018年産のカカオを、今日石臼で挽いて作ったものです。カカオ本来の発酵の風味を感じて下さい。」

私たちが普段口にしているお手頃なチョコレートは、だいたい5年前に収穫されたカカオが使われているそうです。流通の仕組み上、カカオは収穫した暑い国から一旦、寒いヨーロッパに渡りチョコレートにしてから輸出されており、その間に風味や香りがかなり失われているのだとか。さらに、

萩森さん「製菓学校時代に生産国(インドネシア)に行く機会があって、チョコレートの華やかなイメージとのギャップにショックを受けました。現地でカカオを育てている人たちはそれが食べ物とも知らず、もちろんチョコレートになっていることもよく知らず、ただお金を得るためだけに働いていたんです。」

チョコレートの美味しさだけじゃなく、そういう事実も伝えていきたいという萩森さん。

片山さん「世界の三大搾取がコーヒー、カカオ、ダイヤモンドと言われています。僕が仕入れているのはコミュニティ型の生産者組合のもの。ここでは、ちゃんと学校もあり子どもたちが労働に使われていることもない。努力していいものを作れば、いい買い手と出会いきちんと対価が得られると約束しているので、みんなが生き生きとしています。」

吉川「この感覚は私たち消費者にはあまりなかったものですね。今はお腹を満たすのも、舌を満たす(美味しさ)というのも、レベルは相当アップしている。そんな中で、これから食の概念が変わっていきそうですね。」

片山さん「これからは質の高いものを食べて、その対価が生産者にまで届くことが大切だと思います。」

吉川「前回のイベントでは、ホップを育ててビールを作る、とか今まで単にビールを飲むだけでは見えなかったこと、プロセスを知ること(関わること)で価値が生まれることを知りました。今回、カカオをテーマにすることで、そのプロセスが世界的な課題であることを知ることができました。」

片山さんに出会うことで、生産者について知ったことをエッセンスとして取り入れた商品を提供して行きたいと考えるようになった、という萩森さん。

吉川「消費者と生産者が実際に顔を合わせる、ということの価値を感じますね。例えば、中津が生産者と消費者がつなげていく、メッセンジャーが集まる場所だとすごく面白いですね。ひとつひとつはマイクロな商売だけど、横のつながりはすごく広いというような。」

そして、トークセッションの後はみなさんお待ちかねの懇親会!カカオを使ったクラフトビールは意外にも黄金色。焙煎前の生のカカオを使ったフルーティな一杯は、トリュフとも相性抜群でした。萩森さんのカカオニブを使ったチョコレートも大好評。

片山さんの焙煎したカカオや「mon petit」のチョコレートも特別に販売。

カカオという一つの食材から生産・流通に関わる世界規模の課題、今後の「食」の在り方、そして、中津の可能性にまで話題が広がった今回のトークイベント。食材としてのカカオやチョコレートへの興味が深まっただけでなく、日常生活に欠かせない「食」の当たり前を見直すきっかけとなりました。

自分自身が単純に美味しい、お腹が満たされるということだけでなく、その先に笑顔や喜びの生まれる「食」になっているのか?そのために、ひとつの「食」からどんな情報を受け取るのか、がこれからの消費者に求められることかも知れません。

次回は3月26日(火)、会場を「ファーストキャビンステーションあべの荘」に移し、トークイベントシリーズ最終回として、アートとクラフトビールとコミュニティの関係性を探る内容で企画中です。

次回もお楽しみに!

 

株式会社GOROCUBA http://gorocuba.com
mon petit https://www.instagram.com/monpetit_chocolat.nature/
ホップとクラフトビールとコミュニティのおはなし https://www.facebook.com/hopandcommunity/

山口薫(中津新聞)


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