中津新聞

2018.12.27

商店街の「キュートな」お豆腐屋さん|豆腐店店主・宮北芳江さん

中津新聞ではさまざまな形で中津に関わる人々をご紹介しています。
今回のインタビュー は、NHK 朝の連続テレビ小説「ふたりっ子」の実技指導にも携わった「こだわり豆腐工房 味八喜多」の宮北芳江さんです。

<素材にこだわる自家製豆腐>

宮北芳江さんの父親の代から始まった「味八喜多」。
約20 年前に放映された「ふたりっ子」の技術指導を行ったことでも知られています。

もともと宮北さんは神⼾の生まれ。お風呂屋さんを営んでいたお父さんは、その後様々な事業を経て、中津にたどり着きました。現在は数年前に開店した尼崎のお店がメインで豆腐作りを行っているそうですが、今でも変わらず中津のお店でも豆腐や豆乳を販売しています。中津のお店では月水金の週 3 日、生湯葉づくりを行い、尼崎のお店でのみ販売しているそうです。

生湯葉を作るのは、約 13 年働いているパートの方。最初 2〜3 年は宮北さんが作られていたそうですが、今はベテランのパートの方が作られています。15 年ほど前から始めた生湯葉づくりは今も同じ作り方を続けているそう。そのお店の中は温かく優しい湯葉の香りでいっぱいでした。

味八喜多の一番のこだわりは素材と味。
「国産ってめちゃめちゃ高いんです。国産の豆を使って豆腐作ってたら、原価から考えるとだいぶもらわんといけん。けど豆腐って大概低いじゃない(価格が)。そんな高い豆腐はあんまり売れない。けど美味しいものこしらえてれば、お客さんも覚えてて遠くへ行っても何かあるときは、暮れはここのんでないとって⾔って買いに来てくれはることもありますね〜未だに。だからやっぱり良いものはこしらえていかなダメやねぇ。」と話す宮北さん。
その味へのこだわりは、噂を聞きつけた北新地のお店にも卸している、というほどです。
お店で販売している豆腐には、それぞれ使っている素材の名前が記載されています。ちなみに、写真の「珠美人」はおいしい豆腐のために作られた日本初のブランド大豆の名前だそうです。

<暖簾の内側から見る商店街>

取材中にも「木綿豆腐一丁ちょうだい〜」とちらほらお客さんがお豆腐を買いにやって来ます。「(取材をした)木曜日は暇なの。月水金はみんなお昼過ぎても開いてると思ってるからぁ〜」と宮北さん。

そんな中津商店街は終戦して数年経った昭和 30 年頃が最も賑わっていました。肉屋、魚屋、八百屋などいろいろなお店が軒を連ね、そこでの買い物はまさに生活の一部。バブルが弾けて人がいなくなってしまってからは核家族化も進み、中津に住む人々の高齢化につれてだんだんシャッターを閉める店が多くなりました。商店街のお店が抱える“後継ぎがいない“という問題に、「親の苦労を見てるからかなぁ?」と話す宮北さんはどこか寂しそうでした。
お店の中でインタビューをしていると、お豆腐を買いに来るお客さんとにこやかに話す宮北さんの姿と、正面の営業している電気屋さんが見えて、寂しさはあまり感じられません。しかし、お店の外に一歩出ると、途端に人通りの少なさやシャッターが降りているお店が目に付きます。賑わっている時代からほぼ 60 年もの間お店に立たれている宮北さんは、より強く寂しさを感じているのかもしれません。

<見ていると幸せになる、可愛らしい人柄>

商店街に住みながら商売も続けている人の中では、一番先輩だという宮北さん。お客さんが来るとテキパキと対応し、お肌もツヤツヤ。
 取材中にお客さんが来ましたよ、と声をかけると両手を上げる大きなリアクションで驚いたり、「ツムツム(スマートフォンのゲームアプリ)やってる♪」とスマートフォンをうれしそうに使いこなす笑顔をみて、思わずキュンとしてしまいました。たまにお店の近くのカフェにご飯を食べに行くこともあるそうです。
「もうここは商店街としては成り立たんのと違うかなぁ。みんな歳いって後継ぎがなくて辞めていくっていうのが多いですね。お店のシャッターを開ける店も少なくなってきましたしねぇ。」私ももう店を閉めようかと思っている、と話す宮北さん。

改めて生湯葉づくりの取材に行った日は連休明けで、午前中には厚揚げやお豆腐はほぼ完売。完売後も宮北さんとお話されるお客さんがたくさんいました。お豆腐の味の良さももちろんですが、宮北さんとの会話を楽しみに来るお客さんも多いようです。お店の外から声が聞こえると、ひょっこり顔を出してお話を楽しむ宮北さん。その姿を見ていると、ほっこり温かい気持ちでいっぱいになりました。

みなさまもぜひ、こだわりのお豆腐とキュートな宮北さんとの会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。

中津新聞がスタートして早 1 ヶ月。これが年内最後の記事となります。
年明けはここ数年の間に中津に移ってきた方々にスポットを当てて、取材していく予定です。来年もよろしくお願いいたします!

 

文/妹尾優奈(中津新聞)